最近アヴリルラヴィーンがライム病で5ヶ月間の闘病生活というニュースを見ました。
彼女がそこで言ったのは
「まさかダニでこんなことになるとは思わなかったの!死ぬかと思ったわ」
これは他人事ではないので、北米・ヨーロッパに旅行予定の方も増えるこのシーズン、
当事者目線からこのライム病も含まれるマダニ感染症について紹介します。
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数年前に日本でも九州でマダニにかまれ感染症にかかり多くの方が亡くなったことは記憶に新しいと思います。
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ライム病ではなく、日本では SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という 感染症が多かったようです。
これは、簡単に言えば血小板がなくなってしまうので 血が固まらない=血が出たら止まらないとなってしまう病気です。 |
刺されるというより、ダニは咬みますので咬まれるといいますが、
咬まれると赤く腫れます。
実際は、画像検索すると色々でてきますが、頭からぶさっと突っ込んでいるそうです。
初めて見た時は、思わず笑ってしまいましたが、すぐに現実に戻ります。
“これ、どうやって取るの・・・?”
その前に、もう少し感染症SFTSについて詳しく説明を続けます。
“SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症である。
2013年1月に国内で海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告され、それ以降他にもSFTS患者が確認されるようになった。 SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認めら れ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。
検査所見上は白血球減少、血小 板減少、AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇が多くの症例で認められ、血清フェリチンの上昇や骨髄での血球貪食像も認められることがある。致死率 は6.3〜30%と報告されている。
感染経路はマダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心だが、血液等の患者体液との接触により人から人への感染 も報告されている。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。”
こんなニュースが流れたらびっくりですよね。ワクチンないのです。
ダニなんて、ペット飼っている方なら特に身近なもので、
自分の生死を考えるほどの危機感は持っていなかったと思います。
まして、頭から刺さっているダニなんてのも見たことある人は少ないのではないでしょうか。
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実際、世界単位で考えると、このマダニ感染症というのはとてもポピュラーな病気で、
もう何十年も研究していても有効な薬が無くて、日々ネット上で感染者同士情報を共有しています。
そもそも、ダニの種類というのは沢山ありますが、家にいるのとは違います。
生息場所は、外の茂みです。森林、草むらとありますが、さらに細かく言えば、
その辺の公園の芝生、枯葉だまり、少し湿ったところなどです。
ピクニックなんかで公園の芝生で座っているのも、注意が必要です。
そして、一番危ないのがペットを通しての感染です。
九州での例も、自分達は気をつけて外に出なくてもペットがマダニを運んできて感染、
というのがほとんどではないかといわれています。
わんちゃんが好きな場所にはマダニもいます。
マダニはイエダニと比べて、3mm~8mmと、大きさが圧倒的に大きいです。
8mmというのは、ダニは吸血後大きさが2倍以上の大きさになるのです。
もう恐怖を覚えるほどの大きさですね。
こんなマダニに咬まれた後、人間はどうなるのでしょうか。
さきほどSFTSの説明中にもありましたが、
発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認めら れ、
その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、
リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状など
これ、要はもう何が起こるかわからないのです。
何が怖いって、風邪っぽいで済めばいいんですよ。
インフルエンザっぽいなんてよく言われていますが、そんなのだけならいいのです。
これが、脳に行った場合が怖いのです。
それに関係するライム病について書かせてください。
実はずっと書こう書こうと思っていたこの記事。
アヴリルラヴィーンによって今回大きくとりあげられ、知名度が上がったのではないかと少し嬉しく思っているのですが、日本では症例が少ないので是非知って欲しい。
欧米では「ライム病(Lyme)」というのがとても多く、ポーランドでも誰もが普段から注意している病気です。私の周りでも10年以上もライム病で困っている人がいて、ずっと情報が無いものか調べていました。
しかし九州の事例がある前までは、日本語で調べたくても治療法の資料がなかなか見つからず、(英語を読むのが面倒で)書かないでいたのですが、アヴリルがまたこうなったもんだからもう書こうと思いました。
ライム病も罹ったら最悪死にますからね!
ポーランドでもライム病はとてもよく知られていて、何十年も感染症にかかっている人が沢山います。
こんなにポピュラーで、アメリカ・カナダ・ヨーロッパなど先進国で有名な病気なのに、
それにもかかわらず特効薬が無い。
これはもう不思議でしょうがないのですが、これだけ医療が進んでいてもこれが現実です。
ライム病は、日本でも稀にありますが、標高の高い所、
夏でも涼しくて乾燥しているような所(北海道や信州など)にいるマダニが持っている感染症のようです。
ポーランドもこれだけ自然に囲まれていますから、
基本的には気持ちよくてナチュラル生活を過ごせて幸せなのですが、その分、
自然の恐怖と隣り合わせという事も多くあるというものです。
SFTSほど致死率は高くないのですが、ライム病もそのひとつ。
こちらも症状が深刻です。
まず、症状には3段階あり、1段階で気付ける人は普段からちゃんと気をつけている人です。
怖いところは、咬まれたことに普通は気付かないそうです。
ただ、かゆみが出るのが普通ですが、出ないこともあるそうです。そして気付かなくてある日数年後にいろんな症状が出てきて「これはいつかマダニに咬まれていたんだな」と気付くのです。
ただ、そこまでいったらもう大変。時すでに遅しで、闘病生活を続けなければなりません。
咬まれると基本的には、こうして赤く模様が出ますので分かります。
見えるところ刺されて、分かればいいですが背中や太ももの裏など見えないところ刺されて気付かないで放置していると大変です。
大体出てくる症状というのは、・関節が痛い、・突然の頭痛、・突然のめまい、これが日常です。
更にレベルが進行しているひどい人になると、・突然物忘れが激しくなる、・動けないほど体がだるい、・何も考えられなくなる、など脳にいってしまうパターンの人は日常生活に支障が出てきます。
パターンというのは、ライム病の症状は本当に人によって違うのです。
なので、“今後こうなります、こんな事が起きます”と言えないのが不安であり恐怖であるところです。
ただ、体が弱かったりすると死亡例もあるということです。
私が知っている人もそれぞれ違うので、同じ病気とは思えないほどです。
なんにせよ、まず咬まれなければいいのです。
予防をしっかりしましょう。
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1.予防スプレーが売っていますので、 出かける前にスプレーしていきましょう。 2.特に足元、裾からの侵入を許さないように注意! 3.湿地帯・草むらにあえて入ることを避ける。 4.出来れば虫がつきにくいツルツルした素材が◎ |
自然に囲まれたところに行く予定がある方、
特に北米・ヨーロッパに行くときは一度NIID国立感染症研究所の「マダニ対策、今できること」
こちらのページをご一読下さい。とても見やすく分かりやすいです。
<山や森に入る人>
布目が細かく、ツルツルした素材の、明るい色の衣服を身に着け、
裾は長靴やハイソックスの中に入れ、マダニの衣服内への侵入を予防してください。
<普段の生活>
例えば森林浴や公園を散歩するときは、なるべく草むらの中は歩かないようにしましょう。みんなが座っているからといって、油断してはいけません。
芝生に座るときには、出来るだけビニールシートや何かを敷いて直接座らないようにしましょう。
足元だけ芝生に投げ出していては意味が無いので、要注意です。
(※去年一緒にピクニックした友人は後日それで咬まれていました。)
<帰宅後>
必ず咬まれていないか全身をチェックしてください。一人では難しいところもあると思いますがしっかりチェックしましょう。服に着いていないかもチェックしてください。
・乳幼児、老人は被髪頭部への咬着が多いので、頭部を重点的に調べましょう。
・咬着後24時間以内に虫体を除去す ると感染率が低いといわれています。
咬着をみつけたら、必ず虫体を破損させずに、ピンセットなどで引き抜いてみます。
ダニ類は長時間吸血します。(10日間以上ということも。)
早く気付いて早く取り除くことが最重要です。
※これは自分でやるのが難しいのです。
自分でやって体をつぶしていますと体液が出てきます。
ここにウイルスが濃く沢山ありますから傷口から体内に入ったら大変です。
医療機関にやってもらうことを強くおすすめします。
咬まれてしまったら、数週間は体調の変化に注意深く観察しましょう。
発熱などが起きた場合は、ウイルスが入ってしまっているかもしれません。
医療機関で必ず診て貰ってください。
問題は咬まれてしまったら、ですが、
SFTSについては、すでに日本で研究が進んでいるようなので対策は病院にいけば
それ以上は病院にお任せでいいと思います。
*************ライム病闘病について少し詳しく書こうと思います。**********
ライム病を治すには、治すというより、ウイルスの繁殖を抑えつつ、
少しずつ体から抜けていってくれるようにしむけるという方法です。
医療機関での化学治療法(西洋医学)と、サプリを使った自然療法?(東洋医学)の2種類がありますが、
人によって化学医療が効く人と、効かない人がいるようです。
医者に出されたもので効けばいいですが、効かない場合はサプリを常用するようになります。
そもそもちゃんとした有効薬はありませんからね。
サプリというのはそもそも自然療法と言っても、
尋常じゃない量の栄養が凝縮しているものもありますから(特にアメリカ製)
用法容量を見なければいけないのですが、
ライム病患者の場合はそれは無視します。
例えば、ビタミンB類がおおくのライム病の症状に効くといわれています。
サプリのケースを見ると「1粒で1日に必要な量の1500%」と書いてあったりします。
1mgで十分なところ、1粒で15mg入っているということです。
数日だけなら影響はありませんが、サプリは3ヶ月以上毎日飲み続けて
やっと体に慣れてきて有効になってくるようなものです。サプリは即効性がないから体に優しいのです。
すぐ効くものは嬉しいですが、その分体に負担がかかってるというものです。
しかし、そんな優しいサプリでも容量をちゃんと見ないと、それはなんでも毒になります。
(話聞いてると、そのサプリ摂りすぎで体調悪いんじゃないの?と思うほどなのですが・・・)
ライム病患者の場合は、そのウイルスがかなり体から栄養を奪うそうなので、
そんな強いサプリのいろんな種類を1回に6~8個、1日3回摂ったりするそうです。
またビタミンB12、B2、C、D、Eなどメジャーなものの他にも、
キャッツクロー、アンドログラフィス(穿心蓮)、リバーエイド、レスベラトロール、
朝鮮人参のエキス・・・などどのサプリも調べると、
「老化防止」コーナーにおいてありそうなサプリが多い気がするのですが、
これらもどれが自分に効くかは、一人ひとり症状が違うので分からないのです。
サプリですから、全部それぞれ効能がよくて、どれとってもとりあえず健康にはいいんだろうな、
と思うのですが、患者はライム病治すために摂っているので求めている効果は違うのですね。
最近実際に罹ってしまった方、英語のHPならいろんな情報がありますから、
「Lyme disease」で検索をして、
自分がどんな症状があるのか、
同じような症状を持っている人はどの薬(またはサプリ)が効いているか、
を調べていく必要があります。
サプリを摂りすぎても、その栄養過剰摂取の副作用は起きますから、
その影響でも頭痛やめまい、毛が抜ける、だるい、下痢なども起こります。
それが、Lymeの仕業なのか、サプリの過剰摂取だからなのか、たまたまその時風邪をひいているのか、
もう原因が分からなくなるのがこのライム病闘病生活の怖さです。
友人は、ある期間、突然軽いアルツハイマーのようになり、今サプリを飲んだかどうか、
鍵をかけたかどうか、今何を話したかどうか、本気で全部忘れてしまって
繰り返してしまうことがあったと聞きました。
また、よく動けないほどだるくなったり、いきなり気分がナーバスになって怒ったり、
気性が荒くなったりもしているそうです。
・お酒も飲むと薬の効きが悪くなるので、お酒好きなその友人はしばらく禁酒していて、
お酒をそもそもあまり飲まないうちによく遊びに来ていました。
・ライム病には食事制限もあります。ほぼ炭水化物抜きダイエットのようなものです。
・この友人は15年目?にして、ほぼ完治してきたそうですが、まだ油断は出来ないとか。
でもお酒も飲めるようになったそうで、見た目にも肌のつやや体格が良くなっていました。
とにかく気にしなければならないことが沢山あるけど、やってることは「それ関係あるの?」
と思うような美容関係に良さそうなことばかり。でも、それぞれ効く人には効くそうです。
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いつか、このライム病を早く完治できるような薬が出来るといいなと思っている日々です。
マダニ感染症にはこれから外にでる季節、特に海外旅行される方には
辺鄙な場所でなくても要注意が必要な病気の一つです。
是非、頭のどこかにおいておいて帰国後もいい思い出だけが残るよう自然を楽しんでください。
少しでも参考になりますように。
参考HP:NIID国立感染症研究所
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-lab/478-ent/3964-madanitaisaku.html