先日「Bogowie」という映画を見ました。英語のタイトルは”Gods”
何の話かも知らず、突然主人に「これ良い映画らしいから観よう!」といわれ見始めました。
しかしポーランド語なので、さすがに最初にどんなジャンルなのかと聞いてみたら、
「世界で初めて心臓移植に成功した医者のドラマだよ」
「え!?その人知ってる!!その人の映画があるんだ!!」
一時期この写真が有名になっていたときの事を思い出しました。
この画像見覚えのある方いますか?
この医師はZbigniew Religa(ズビグニエフ レリガ)さん。
今から30年前、1985年に世界で初めて心臓移植をしたポーランド人医師です。
上の写真は1987年に行われた23時間にも及ぶ心臓移植手術後の写真です。
「これは私です」Tadeusz Zitkevitsさん
そして写真で横たわる患者さんの25年後のお写真。
ズビグニエフ レリガ医師本人
この映画は去年、2014年10月に公開された映画で、
ポーランドのいくつかの映画祭でも金賞を受賞しています。
映画というよりは、長編ドキュメンタリードラマ。
感動を誘う為の無駄な演出なんかはなくて、とてもリアルです。
“心臓手術する以外助かる方法はない。”
当時は、カトリックというのも影響して、人間が神に与えられた命を操っていいものか、
内臓を他人にあげるなんて、と道徳的、文化的、宗教的タブーをやぶり批判もあったようです。
それでも、医師としても強い熱意があったレリガ医師は死の淵にいる患者さんを、
何もせずに見過ごすわけにはいかなかったのです。
しかし、ドナーがまず必要だ。時には豚も試してみないと分からない、そんな会話もありました。
なんでもやってみなければ分からないですよね。
その姿勢に強く同意しました。
“目の前の患者を見過ごすのか!”
しかし、彼は熱意ばかりが先走ってしまい、挑戦はするもののいきなりはうまく行きません。
そして遺族まで考える事を忘れていました。手術の失敗=死。遺族は希望を持ってお願いするものの、
傍から見れば人一人死なせて置いて、あげくもう一つの心臓も殺している人殺しだと。
レリガ医師はただ救いたいだけ。とても葛藤しましたが諦めませんでした。
病院の上の人は、やったことのない未知を恐れ、今までもそれで良かったんだからと挑戦しない。
いや、怖かったのかもしれません。
でもレリガ医師は違います。
口は悪く、ヘビースモーカーで、お酒も飲むけども、
でも患者を救いたいという気持ちは誰よりも強く、そして才能がありました。
映画のワンシーン。ヘビースモーカーだったレリガ先生(役)。
そして、人からの信頼も厚かった。とても人気の先生だったそうです。
でも映画を見ていると、人気があるのが良く分かります^^
もともとポーランドは共産主義だった時代があるため、決して裕福ではありませんでした。
病院に勤めていましたが、救いたい命が自分の病院ではない
(院長命令で心臓移植手術が行えない)から救えない。
レリガ医師は自分の病院を建てよう!と思い立ちます。例え離婚がかかっていても。
悔しかったり葛藤していたり暴言を吐いたり・・・(普通のテレビだったらピーが入る言葉ばかり!)
いきなり成功したわけではありません。映画を見ている中では数人目にして成功していました。
途中トラブルも沢山あったことでしょう、それでも乗り越えて、
その患者さんが自分より長生きしているのは嬉しいことではないでしょうか。
何よりも共産主義政権下にあったポーランドは裕福な国ではなかったはず。
機器も良い物が揃っていたとは思えません。なのにやってのけた。
レリガ医師は2009年3月に肺がんで亡くなりました。
このレリガ医師のように非常に才能があり、かつ思いやりのある医師のおかげで
今日ではさらに可能となった心臓移植。心臓移植は、多くの命を救います。
そして、こうして感謝できるのもこの写真を撮ったジェームズスタンスフィールドのような
カメラマンのおかげでもありますね。
監督はŁukasz Palkowski
出演はZbigniew ReligaにTomasz Kot、このトーマシュ・コトさん(ちなみにkotは猫)は、
この映画の主演をすることによってその演技をとても評価されたそうです。(似てますよね!!)
日本では公開していないと思うのですが、
いつかこれが翻訳されて出てきたら是非見て欲しい映画です。