15歳のポーランド人の女の子との世間話で教えてもらった学校でのこと。
ひょんなことから「ちょっと待って!」といろんな違いに気付き色々と教えてもらいました。
その1の続きです。
***************** ***************** ***************** *****************
聞いた話で一番びっくりしたのは、いわゆる家庭科/生活にあたる授業。
「wdżs」と呼ばれる授業でwychowanie do życia społecznego/seksualnego (一般生活と性教育)のこと。
日本でもありますね、生活と保健体育みたいなものでしょうか。
そしてある日の授業。
先生
「はい、それでは今から5つの大きな夢(したいこと・課題)を書き出してください。」
「書きましたか?では、想像して下さい。今あなたは妊娠しました。最初の3つの夢を消して下さい。」
「では、今あなたは何をすべきでしょうか。どこに連絡すべきか、誰に助け(援助)を求めるべきか、
どう説明していくかをグループで話し合いましょう。」
すごくリアルな内容ではありませんか!?
私が受けた授業は、精子と卵子というものがあって、それらがここでこんな確率で出会って、
こういう時間を経て子供が大きくなります、程度でした。
彼女はこの授業のときに3つ目の夢の欄で「妊娠しない」と書いたそうで、
それも消さなければならなかったので困ったそうです。
すでに妊娠してしまった仮定ですからね!
★ポーランドでは、カトリックの国なので故意ではない妊娠でも中絶は認められていません。
厳密に言えば「公式には認められていない」というだけで、非公式の医者(が存在するのも怖いですがいるそうです)
なら出来なくもないそうです。でもかなりの罪悪感でしょうね。
そしてポーランドには遊園地がありません。
日本みたいにそこら中にあるカラオケ、ボーリング場、ゲームセンターも、滅多にありません。
でも全く無いわけではありません。
ROUND1のスポッチャのような施設がワルシャワにもあります。
ただ、一般的な感覚で「あるよ~」とは言えない規模・数です。
さてそこで暇つぶしのような、遊び場となるのは、
若い頃からクラブがその一つになるんですね。
※そればかりじゃないですよ!ちなみに私の友人にはクラブに行ったことない人ばかりで
彼女達が好きなのは公園でのおしゃべりやホームパーティーという名の家でのおしゃべりです。
今回はちょっとこれについて書きたいので続けます。
踊る文化なので、とにかく飲んで踊ります。
ポーランドは18歳から成人なのでお酒も早くから飲めます。
ポーランドのバスや電車の夜行バス・始発が早いといった利便性はそのせいでもあるのではないかと思います。
結婚式の2次会パーティーでも、踊って飲んで、子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、
朝5時までが普通だそうです。
酔っ払いのすることといえば、もちろん飲酒運転。
ポーランドでもよくニュースでやっています。
ちょっと違うだろ、と思うのは「飲酒運転で一人で事故を起こして(自爆)亡くなった人」への
「可哀想」というアピール。
[えぇ!?それはただ本人の責任じゃないの]と思ってしまのですが…
もちろん、飲酒運転している人によって巻き込まれてなくなったかたの親族の怒りというのはとてつもないです。
しかしポーランドには死刑制度がありません。
ので、これもいつの間にかひょっこり出てくるので親族の思いはやるせないですね。
他にも喧嘩だったり、公共物破損だったり・・・
ポーランドで週末の夜、街中でも出歩く時は少し気をつけましょう。
そしてもう一つ起こるのが、若い子の妊娠。
酔った勢いで・・・というのはどこにでもあるものです。
先にも述べましたが、ポーランドの法律では中絶はできません。
産むしかないのです。
なのでポーランドでは少子化という問題はないように見えます。
しかし、政府の負担はその分大きいわけですね。
ここからは倫理の問題になってくるので何がいいか悪いかが一概には言い切れないようですが、
私の意見としては「バカに無駄な税金使うのやめて、中絶を認めればいい。」です。
主人のまわりにも2組いるんです。現在進行形で私は呆れています。
軽い気持ちで後先考えずいい年こいた大人が性行為をし、結果子供が出来てしまった。
でもお金も全くない、頼れる家族や親戚もいない、相手側も貧しい、でも子供は産むしかない。
この貧しいのレベルが日本ではあまり考えられないと思います。
環境が違いますので実際そういった人々の身なり、住まい、環境は生活の標準がとても高い
日本ではありえないものです。
こういった場合に助かるのが政府のサポートです。
※ちなみにポーランドは出産費用も国立病院であれば無料です。
(ただし国立病院は施設設備が悪いです)普段の医療費も老人(何歳か忘れてしまいましたが)は無料なので
毎日長蛇の列。予約は半年待ちだったり3年待ちだったり。
そして待っている間に亡くなるというのがポーランドの現実です。
言い換えれば、高齢化問題はこれで自然の摂理として起こらない状態ですね。
産んでからも現実は待ち構えています。
・奥さんが働けなくなった今、自分はもっと稼がなければならないのに仕事がない現状。
・部屋も狭いから引っ越したいけどお金もない。家具もない。
・赤ちゃんのための小物・備品はそれぞれそろえなければならない。
全部大問題です。主人も友人なので、出産祝いにパンパースをあげたり、子供グッズをあげたりもしましたが、
毎月あげるわけでもないので当人はその後どうしてるのかと心配です。
貧富の差がとてもあるポーランド。
ワルシャワはかなりお金持ちエリアです。それでも、ちょっとはずれれば
完全に村となっているところもあるので貧富の差はかなりあります。
片や、外でお茶をし、ショッピング。沢山ある祝日や休日、有給には旅行、
電気代や水道代・ガス代は気にせず使いたいときに使う、近ければ高くてもいいスーパーで食料品を買う。
片や、暗くなったら電気をつけるのは小さい間接照明だけ、暖房(ガス)は最小限で
厚着をする/暖房(燃やす人)は石炭が高くて買えないので貰ったダンボールや紙を中心に燃やして暖をとる、
基本どこにも行ったことがない。
ただ、一見貧しい=辛そう、可哀想と思いがちな節約生活も少し違います。
人によるかもしれませんが、
私の目に映る人々は不満がそんなに見えないのです。
そこまで無理している感じもしません。とってもナチュラルなんです。
不満を言うときでも全く嫌な雰囲気がでないのは、きっと自然と調和した生活をしているからなのかなと感じます。
なので、変に気を遣うのは返って失礼ですし、機会があればなにかプレゼントしたり
招待すればとても喜んでもらえるので、たまの息抜きをする時間を一緒に過ごせるのはとても幸せなことです。
私の場合、こういった「ポーランドの普通すぎて言われなければ気付かないこと」を教えてくれる人が
いなかったので4年目にしていろんな人と関ることで、ここまでわかってきました。
“日本人だから”と、きっと周りの人は許してくれた私の無意識の無礼もあったと思います。
15歳の女の子とチャットをしている私を主人は毎回ため息つきながらバカにしてきますが、
おかげで私は現代のポーランドについて色々なことを知ることが出来ました。
お隣に住む85歳のおばあちゃんのおかげで、私はどれだけ主人の稼ぎが大きくて
一般よりも富裕層であることに気づくことが出来ました。
おばあちゃんからは、昔話からガーデニングの話、節約の話、病院の話、お孫さんの話などの世間話から、
何よりも完全にポーランド語しか通じないので私にとっては一番の勉強になる大切な時間です。
学校の話から大きく逸れてしまいましたが、私が過ごしているポーランド生活はこんな状況の中にあります。
基本的には、国関係なく、「今時の若者は・・・」という愚痴も多ければ、「使えない上司」もいます。
ポーランドにあまりないものとすれば、家族の愚痴だと思います。
家族の絆は私にはあまり分かりませんが、こちらは教育されているのもありますし、
両親の子供への愛し方がとても分かりやすく表現していて見ているだけでも私も幸せを感じるほどです。
・・・といっても、結局は人それぞれなので、同じポーランドに住んでいる人がこれを読んだら、
「いやいやいや」と突っ込みたくなるところもあるかもしれません。
あくまでもこれは私が過ごしているポーランド生活として、流して下さい。
すでに十分大人っぽい子ですが、ポーランド人の美人さ、スタイルのよさは本当にうらやましい限り。
彼女も卒業式にはポロネーズをこんなセクシー衣装で踊るんだろうなぁと今後が楽しみです^^
2017/11
これを読んでコメントをとても為になるコメントを頂いたので
匿名にして掲載します。
「ポーランドに関わらず海外生活の美点ばかりをアピールするブログやメディアが多い中、とっても心にズーンとくる記事でした。
ポーランドは寛容、
人が優しい、日本より住みやすいという人に聞いてほしい言葉があります。
ポーランドやその周辺国に滞在し、
ポーランド人の素朴さや、人懐っこさに癒されました。
しかしながら同時に、ポーランド社会の深い闇にも触れる機会がありましたので、その中で出会ったポーランド人たちの言葉を、書かせて下さい。
ポーランド人は大抵愛国心が強いけど、
それは、大国に対する強いコンプレックスの反動であることも多い。
だから、その分移民排斥感情や異民族に対する差別も激しいよ。
ポーランドが本当にいい国だったら、出稼ぎする人なんていないでしょ、自分の国を好き好んで出る人なんていないよ。
子どもの頃に来たのよ。私は来たくなかったのに、、、。
この国に何年住んでいても、私は所詮ポーランド人に過ぎないから。
国は同じでも、エリート留学生たちと、出稼ぎ労働者では、国を出る目的も将来も全然違う。
愛する家族と一緒にいたいけれど、その家族の為に異国で働いて送金する。
物凄いパラドックスです。
ポーランドの街中でもアルコール中毒の人を見かける機会がありましたが、
彼、彼女たちに必要な理解やサポートは、欧州の裕福の国に比べて少ないように感じました。
どこの国にも社会問題はありますが、それを社会が認識しているかどうかで、人びとの眼差しも随分変わってくるように思います。
トルコやロシア、フィリピン、ブラジルも出稼ぎが多く、そういう人たちをバカにする自国民もいますが、
そういう人は、出稼ぎに出なくてもいい選択肢があったんですよね。
好きな国を全面的に認め、憧れたい気持ちもありますが、世界中どこにいっても国は不完全な人間が作る物。
ダメなところもあると、ユートピアはない、と、いちポーランドファンとして心に留めて生きてゆきたいと思います。」