「Up in the Air」
日本版 「マイレージ、マイライフ」
先日フリクエントトラベラーにやっとなった私。
「やったねー!」と達成して喜んでいたのですが、(詳しくはこちらの記事からどうぞ)
それも主人の趣味というかマイレージバカなのでとにかくマイル中心の生活でした。
旅行は好きなのでいいですが、適度ってものがありますよね^^;
そんなことを思いながらこのタイトルが気になったのです。
相変わらず日本のタイトルが何故そうなったのか謎。
ちなみにポーランド語版は「W chmurach」 雲の中で、という意味です。
そして内容は思っていたものとは全然違ったのですが、とてもいい話でした。
「うんうん」と頷けるいいストーリーと同時に、自分の性格を見直さなくてはならないなと思ったり、常に何かに影響を受けて自分も相手も誰もが変化し続けている、ということが改めて確信できる映画でした。
話の内容をざっくり言うと、
*****************************************************************
仕事で年間322日も出張するライアン(ジョージ・クルーニー)の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯め、飛行機に自分の名前を残し、フィンチ機長と面会すること。
彼のモットーは、
「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」
肉親とも距離を置き、結婚にも興味を持たない。
ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会 い、意気投合する。
ライアンに仕事は所謂「解雇宣告人」であり、1年のうち300日以上を出張のために全米中を飛行機で飛びまわるのに費やすという人生を送っていた。
行く先々で、罵声を浴びせられ、また同時に「どうして私が!」「20年もここで働いているのに」「子供をこれからどう育てればいい」「もう死ぬしかないわ」とつらい言葉も。
それも彼の仕事。
だがライアンがオマハの 本社に戻ったある日、新入社員のナタリーが現地出張を廃止してネット上で解雇宣告を行うシステムを提案する。
ライアンはそれに反対し、ナタリーと衝突す る。
そこで上司のクレイグは、ライアンにナタリーの教育係を命じ、彼女に実際に解雇宣告を経験してもらうために二人で出張させる。まず、ラッゲージの中身 をほとんど捨てさせる。
そんな折、ライアンは姉のカーラから、3週間後に結婚する妹のジュリーのために、彼女と婚約者が写った看板を持ち歩き、出張する先々で写真を撮って きてほしいと頼まれる。ライアンはナタリーとともに出張を続けながら、アレックスとの時間を作ることを計画。
一方のナタリーは、人を“切る”ことで初めて目にした様々な人生に衝撃を受け、さらに自らの仕事を皮肉るかのように、恋人からメールだけで別れを告げられたことに心を乱されていた。
ライアン、アレックス、ナタリーの3人がホテルで初めて顔を 合わせた時、ナタリーは、アレックスに対して「気軽な関係」としか言えないライアンを非難する。
しかし実はライアンも人生で初めて、空っぽのバックパック に何か入れたい、と思い始めていた。
ジュリー(妹)の結婚式にアレックスを同伴する。
ところが、婚約者は結婚をためらい、当日になって結婚やめようと言い出す。
しかし、そこでカラ(姉)に「今まで仕事ばかりで家によりつかなかったでしょ。今これがあなたの最初で最後の(家族の絆を作る)チャンスよ。」と言われ、説得を開始する。
しかし、ライアン自体、結婚しておらず、また結婚に対して婚約者同様「何の意味がある?結婚したら子供作って、家建てて、サッカー教室通わせて、二人目できて、子供たちが結婚して、また子供を生んで、自分はおじいちゃんだ。一体自分になんの目的がある?結婚して何が新しく始まるんだ?」仰るとおり。でもそこでライアンは彼なりに説得を開始する。
それはまるで彼自身にも話しているよう。
それもあってか、説得成功。結婚式は無事成功、アレックスを見送り、自分も仕事に戻るのだが、ライアンは満たされず、シカゴのアレックスの家を訪ねる。
しかし、いざアレックスを訪ねると意外な結末が。
そして1000万マイルも貯め、7人目の偉業を達して機長とも話すが浮かない表情。
会社に 戻ると解雇された女性の一人が「予定」どおり橋から自殺したことを知らされる。
ナタリーはショックで仕事を辞めたと聞かされる。
ライアンの会社は、ナタリーが当初提案してきたネットでの解雇宣言ということを見送りにし、
いつもどおりライアンはまたアメリカ中を飛び回る仕事に戻る。
****************************************************************
というお話です。
題名からして、「マイルを有効活用してヒーハー!している人が、何か起こって失敗してでもなんとかなる、そんな話」かと思っていたのですが、そんな単純なお話ではありませんでした笑
どちらかというと、全然マイレージマイライフな話じゃありません。
スタートは、マイル貯めたおかげのゴールドクラス特典のすばらしさをバンバンだしてくるんです。もうそれはまるで主人のよう笑。
まず貯まればね、そしてそこまでのクラスにいけば、そりゃホテルでも空港でもいいこと沢山ですよ。それだけ費用かかってますもの。
そして話の中で出会ったアレックスもまた超詳しくて、どこのホテルの何が良かったとか、
それやるならこっちの方がいいとか、会員カードも沢山持っていて「マイル特典の鬼」のよう!
「はぁこんなクレイジーなのは嫌だー」と思いながらも、きっと主人は「そうそう、だよね~いいよね~」なんて言うんだろうなーと一人で見ていました。
ライアンの解雇宣言人の仕事はとても辛そうです。精神的に参ることも多そうです。ですがこうして仕事の中でマイル特典を利用して移動中にでもストレス発散ができるというのはとてもいいことだなと思いました。
ストレス発散できる時間/場所/相手がいなくて辛いっていうことよくありますもんね。
そんな二人は惹かれあうのですが、
これが人間性をあらわすいいストーリーにつながります。
人生のほとんどが移動で家になんてほとんどいない人です。
当然特定の恋人なんて不可能なわけで、恋人なんて持とうものなら自分の自由が全然きかないわけですね。持ち物は小ラゲージひとつですから。
恋人のためのプレゼントや、デートの勝負服、恋人との思い出の品なんてのは特別必要のないもの。
アクセサリーなんてしてたら、セキュリティー通る時にいちいちはずすのが面倒ですね。
すべては最小限、必要なものだけ、それも自分の為。
家族だっているし、大事にもきっと思うでしょうけど、この人にとっては大事に思う=一緒に過ごすということではないわけで、これは人それぞれですよね。だって自分の人生の優先順位が人とは全然違うのですから。
それでも、結局人とのつながりって、実際に会うこと以上に深められるものはないんですよね。
ネット上だけの友達は、所詮それまで、ということがいつか必ず出てきます。
ネット上での出会いでも、そこからさらに踏み出して実際会えばそれは立派な実際のお友達。
私たちも最初の出会いはネット上ですから、こうして移住して結婚して幸せに過ごすことだって出来ます。会ったことのないネット上だけの友達も沢山いますが、やはりどんなに頻繁に連絡をしていても壁は必然とありますよね。
ただ話したいときだけ話して、忙しいときは放置して、お互いそれではそれ以上はないですよね。それで止まっている事が出来ればいいですが、大体はメッセージやり取りしていくうちに、本当に会ってみたい、一緒にいたいと思うようになるものです。特に男女だとそうではないでしょうか。恋ですね。^^
そしてそんな人と会ったら最後、別れは寂しく、今まで一人でいるのが自由で楽で効率よくて、自分にぴったりだと思っていたのに、孤独を感じるようになります。
この映画のライアンもそうでした。
どんなにひとりの生活が一番と思っていても、やっぱり人は人。
人とのふれあい、まして気が合う人と一緒にいる時間というのは心から楽しくて、
何十年も頑なにしてきたことさえも変えられるほどの力があるものです。
せつないシーンも出てきます。
妹の結婚式は、映画なのに、やっぱり結婚式というのは誰のでも、たとえ映画でもいいものですね。思わず涙ポロリしてしまいました。
だからといって、「結婚はいいものだ!だから誰もがすべきなんだ!なんでお前はしないのか!?」という考えに行くのはナンセンスなんですが、それは置いておいて。
映画を見ていて思ったのは、人とのふれあいが大事だからといって、最初から自分の好きなこと、ライアンだったら沢山仕事をして、同時にフライトしてマイルも貯めて、有効活用してということを辞めなければいけない、わけではないということ。
ただ、それだけが人生ではない、ということですね。
人生は楽しむものです。それが人生の軸ならばそれを中心に生きるのはいいことだと思いますし当然だとも思います。
パッション(熱意)があるのはとてもいいことです。
仕事にパッションがあるのもとてもいいですね。やりがいを感じることも出来る、自分自身で自分を高めることも出来る、それは成功にもつながり評価にもつながると思います。
ライアンのパッションは仕事自体にもありましたし、仕事を通じてマイル特典にもつながっていたので、ここにパッションがあったと思います。
が、それだけでは、何かが足らないと、ふと思う時が来てしまったんですね。
好きなことにはパッションがもちやすいですよね。
私はもうとにかく趣味。
今は趣味がない人も多いと聞きます。
私は趣味が多すぎて、趣味で忙しい毎日です。
私の趣味に理解がない人は、「暇だね」といいます。
<いいえ、私は忙しいです。>
でも、その「暇だね」には、「いいね仕事しないでいいなんて。時間あっていいね、家事してないんじゃない?好きなこと出来ていいね」といういろんな意味が込められているのだといつも思っています。
仕事と比べている、仕事が人生だと思っている、仕事することが万人の当然だと思っている人の言い方ですね。私も仕事しているときは少しそう思っていました。
これって要は皮肉でしょうけど同時に嫉妬なんですよね。
それはそれで、いいんですけどね。
あなたがそう思うならそうなんじゃない、あなたの中ではね。という台詞ぴったりですね。
したければすればいいこと。出来ないのなら出来るようにすればいいこと。
簡単に出来ないのなら、ます出来るように変える努力をすればいいこと。
その努力が出来ないのは私のせいではないし、私に文句を言うのもお門違い。
それ以前に人生ひとそれぞれで、何が成功、何が正しい人生なんて決まりはないことに気付くと考え方ががらっと変わります。
主人もですが、些細なことではありますが毎度同じ事を失敗して「あぁもう!」と自分に怒っています。
それが嫌ならまずそうならないようにそれをしなきゃいいのに、それができないんですよね。
主人は「変えること、変わること、新しい事が怖い」人なんです。
着た事が無いタイプ・色の服を買うこともしない、
「この靴下はすぐ穴が開くなぁ」→「もっといっぱい買わなきゃ」という考えだったり、
(え!?だったらそのメーカーのじゃなくて違うのにすればいいじゃない!と思わず笑ってしまうほど意外な考えでびっくりしました笑)
同じものをずーっと使う、する、何があっても繰り返す人です。
私にとってはかなり理解不能なところもありますが時にはいいこともあるし、
今は自分の影響もあって大分変わって本人も喜んでいるところもあるので万事OKです^^
私は自分にとっての新しいもの好きですから、こうして日本からポーランドへ来て、もう全てが変わり、今でも毎日何かしら新しいことが発見できて、楽しいです。
新しけりゃいいってもんじゃありません。最先端技術が好きなわけではありません。
新しいブランドや商品もただブランド名が違うようなものは興味ありません。
自分が今まで経験したことのない事をするのが好きなのです。
ヨーロッパは小さな頃から好きだったのでほとんどのことが嬉しい発見ばかりです。
それにあわせて変えることも変わることも、怖いとは思いません。
時には文化の違いや自分の性格とあっていなくて、イライラすることもあります。
でも、なんでも自分の思うようにいく世界なんてないですよね。
時には我慢も必要です。その我慢も、慣れればいつの間にか日常になり全く苦ではなくなるものです。慣れって恐ろしいですね。笑
人生どこで何が起こるかわかりません。
今までの普通が、ひょんなことから、自分の人生を変えるようなことになることだってあります。そしてそれを怖れてはいけません。むしろ、そんなことありえるのか!と楽しんだ方が得です。
映画中ではライアンの人生はアレックスとの出会い、妹の結婚、ナタリーの素直でまじめな性格の影響を受けて、少し変わってしまいました。
今後どうなるのか、で終わってしまったので続きが気になるところではありますが、おかげでとても考えさせられる映画でした。
ライアンはまた今も一人。でも人が恋しいと思いながらの出張は今までのようにはいかないでしょう。
しかしそれもライアンの人生。ライアンがそれで満足しているのならそれでいいのです。
誰かが自分の理解できない人生を送っていても、それは人それぞれ。
本人が本当に楽しんでいて満足しているのなら、それでいいのです。
それでもやっぱり人のつながり、ぬくもりというのはいいものですね、ってことですね!
ジョージクルーニーが好きな方、出張の多い仕事に憧れている方、
なんとなくこれを読んで気になった方などなど、皆様是非お時間があったら見てみてください^^
おすすめの映画です~!